《昭和の母のしつけ》
私の母は昭和十二年、福島県生まれです。
学校長まで勤めた厳格な祖父の元、育てられてきました。
母の福島の実家は、藁葺き屋根で天井も高い大きな家でした。
広間には囲炉裏もあり、キャッチボールが出来るほどの広さでした。
毎年夏休みは、母の実家に泊まりに行くことがとても楽しみでしたが、
帰る日は「立つ鳥あとを濁さず。全部きれいしないと帰れないからね。」と、
母のお決まりのセリフ。
『そうじは四角くしなさい!』と叱られましたあせる
ん十年経っても、その言葉が今でも頭の片隅にあり、
ホテルに泊まる際は母の言葉がよみがえります。
そうじとまではいきませんが、ベッド上の布団とカバーを軽くたたんで整えます。
寝巻もたたみ、浴室と洗面台はシャワーで流し、
机の上も整えて、テッシュでさっと拭きます。
最後はゴミ箱を部屋の隅に寄せ、スリッパを揃えて部屋を出ます。
係の方がこの後そうじをしてくれるわけですが、
「私のせいでやる気を失せないように」という思いからです。
実際に係の方の気持ちを聞いたことがないのでわかりませんが、
宿泊した者の礼儀だと思っています。
母には、そうじだけではなく、
裁縫、料理、洗濯、子どもへのしつけも教わりました。
主婦の『さ・し・す・せ・そ』です。
今はこの言葉を知らない方が多いでしょうね。
母は商売人の妻として、
子どもをみる時間も家事を行う時間も思い通りに取れません。
店を閉める20時頃、
同じ商店街にある八百屋、魚屋、肉屋に買い物に行きます。
冷蔵庫はいつもガラガラ・・。
私たちが「何か買っておいてよ~何もないよ~」と言うと、
「うちの冷蔵庫はすぐそこにあるから溜めて置かなくていいの!」と言っていました。
つまり、必要なときは商店街のお店でその都度買うから
買い置きする必要がないと言うのです。
そう言われると確かに便利な生活です。
冷蔵庫の在庫が少ないため、庫内のそうじがしやすく、
母は爪楊枝や綿棒を使いながら隅々まで四角く、
こまめに冷蔵庫内を掃除していました。
ですから、いつもキレイで衛生的です。
子どもとしてはケーキが入っている冷蔵庫を願っていたのですけど・・。
隅々までのおそうじは、こんな▼セットがあると便利です。